広告

【書評】「夢中・熱中・集中…そして感動『柏市立中原小学校の挑戦!』―授業リフレクションで校内研究を変える―

教育現場

【授業リフレクションが校内研修を変える!】
千葉県柏市立中原小学校の参加者全員が学びを実感し、次の授業研究の意欲を感じられる校内研修の方法をまとめた一冊です。

書籍の紹介文

本書(中原小学校の挑戦)は、校内授業研究の方法を
考えるバイブル的な指南書です。

実際本書の方法で授業研究をすると、
今までの授業研究より、
大きなプレッシャーを感じることなく、
授業者は授業をすることができ、
その他参加者も学びを深めることができました。

授業をふり返ることの楽しさを感じられる校内研修
になりました。そして、実践者として一つずつ成長している
ことも感じることができました。

また、指導案の簡略化等、効率性も感じられる内容なので、
教師の働き方を考える上で参考になる書籍です。

主要目次
第1章 「安心・満足・信頼」できる学校へ
第2章 授業研究って楽しい・おもしろい
第3章 授業リフレクションが「校内研」を変える

【要約】本書の抜粋ポイント 10選

授業が楽しければ子どもが授業を楽しみにするように、教師もまた校内研が充実して自分や仲間が育つ姿を楽しめるようになれば、校内研を忌避するだけではなくなると考える。

「やらなければならないもの」として、形骸化しマンネリ化した校内研の問題を抱える学校は少なくないらしい。こうした問題を抱える学校では、発言力のある経験教師はほとんど授業研究を担当しないという。初任者や2~3年目、あるいは他行から転任したばかりの教師が当たりやすい。つまり、その学校での地位が安定していない教師が、仕方なく請け負わされることが多いのである。

①リフレクション(=ふり返り)は自己の「成長」につながる。
②自分の授業を見直そう。
③子どもの意見、感想に寄り添える授業は「力」のある授業。
④授業研究会は授業者の意図を大事にした研究会に。
⑤完璧な授業があるという錯覚を排そう。
⑥瞬時の判断、軌道修正、決断こそ授業の妙である。
⑦授業を通して教師も子どもも共に生き、共に成長する。

<指導案の簡略化>
まず、指導案にかける膨大な時間を大幅に減らす。―中略― 大幅に減量した分、本校の指導案は粗削りで精緻さに欠けているといえる。しかし、指導案全体を自分の発想、構想をもとに創造性を発揮して立てきた。子どもの顔を思い浮かべながら立てた指導案である。ここに意味があると思っている。
〇指導案の形式は固定化しない
〇A4で、枚数は2枚程度とする
〇子どもにつけたい力を意識して書く
〇クラスの子どもの実態(全体・個)をもとに書く

担任が年間36時間の自習体制をとることなど事実上不可能であるから、このような少数の研究会を認めないと、全員授業研究の体制を維持できない。

研究会の進め方は以下のとおりである。
自己リフレクション
ここでは授業者が今日の授業について自由に語ることができる。可能な限り自分のねらいや思い、願いを語る。また、授業の中で起きた迷いや不安、驚き、あるいは方針を変更した理由などを自由に語る。
対話リフレクション
ここでは授業者と対話しながら授業者の意図を知ろうとする「メンター」と呼ばれる人が登場する。この人の役割は授業を観察して感じたことやわかったことをもとに授業者の意図をより明確にすることである。そのために参加者の前で授業者と対話する。批判、指摘することが本義ではない。
グループリフレクション
ここでは上記の二つの過程を経た上で、司会役の進行で参加者全体が話し合い、授業のふり返りをする。あくまでも基本は、授業者の意図を大事にしながら進めるのである。

《成果》
〇授業の見方の変化
・授業者の意図を知ろうとする姿勢が定着
・完成された授業があるという思い込みからの脱出
・子どもの発想に沿った授業計画の大切さを理解
〇授業リフレクションの手法の理解
・授業研究会を通してリフレクションを理解
・リフレクションの手法が校内研究を活性化
〇校内研究(授業研究会)が活性化
・自分の思いや願いがだせる授業研究会
・話し合いが深まる研究会
・教師各人の発達課題を活かせる研究会
・自前の指導案で全員が研究授業を展開
・授業に関する外部評価の高さにつながる
・学校評価の授業評価が良好(授業参観週間の実施等の効果)

授業リフレクション研究は、主に以下の視点に立つ授業改革・授業改善をめざす授業方法である。
☆授業リフレクション研究の基本的な考え方
a.授業の主体は子どもと教師
b.授業は教材・学習材(文化)を仲立ちとするコミュニケーションの過程
c.教師と子どもは学習団を形成し、bのコミュニケーションを通じて文化を創造・再創造する=授業
d.教師は授業を成就させるための専門家
e.自分の授業を研究しそのよい点を伸ばし、問題点を直すことは教師の義務
f.eでは教師が教育実践をふり返り(リフレクションし)授業を研究
g.こうした研究と実践の日々の積み重ねにより、クライアントである子どもの発達を支える教師の責任を果たすことが可能
h.gで責任を果たすことにより、教師は専門家としての誇りと自信と生きがいを得るだけでなく、授業運営に必須の実践知を形成
i.大学等の研究者は、教師が「授業リフレクション研究」で教師の実践知の形成過程を明らかにし、子どもと教師の成長・発達を支援
 (澤本・お茶の水国語教育研究会『わかる・楽しい説明文授業の創造』より)
客観的な視点を得るよう、主観を少し客観の方向にずらす。これを「間主観的に見る」というが、間主体的なとらえ方ができるようになれば、日常生活でも一人よがりから離れることが可能になる。

〇リフレクションに立ち会う他者の聞き手としての留意点
☆第1段階:describing
リフレクターとの視点の共有、情報の共有
・授業者の視点でとらえた授業像を理解・了解・受容しながら問いかける。
☆第2段階:explaining
専門家としての視点からの意見交換
・自らの実践知、授業モデル等に照らして問いかけ、意見交換する。

リフレクション研究で必ず必要なのは「リフレクション」とその後の整理としての「再設計」である。リフレクションの過程では、いろいろな問題が浮かび上がってくるだろうが、最後は「最重要課題」や、「根本的な問題」を明らかにして、授業をもう一度同じ子どもたちとやり直すならばと考えて、「再設計案」を作ると整理が可能になる。

実践ポイント 3選

  1. 授業のふり返り(リフレクション)を校内研究の要と位置付ける
  2. 改善点は批判ではなく、授業の「再設計案」と捉える
  3. 対話リフレクションの場面では、「メンター」は授業者の意図を聞くだけでなく、質問をし、授業者の意図を参加者全員がより深く理解できるようにする。

1行まとめ

「授業リフレクションを取り入れて、校内研をより簡略化し、より前向きなものに」

書籍情報

コメント

タイトルとURLをコピーしました