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【書評】『教師の話し方・聴き方』ことばが届く、つながりが生まれる(石井順治)

教育現場

「ことば」ひとつで変わる学びの場――。
教師に必要な話し方・聴き方の基礎・基本を
授業づくりの第一人者が実例を交えながらていねいに解説。

主要目次
Ⅰ あなたは、どんな話し方、聴き方をしていますか?
Ⅱ 授業を変える話し方・聴き方
Ⅲ ことばがつながりと信頼感を育む~子どもと、保護者と、同僚と

書籍の紹介文

本書(『教師の話し方・聴き方』)は、学級づくり、授業づくりにおける手引書です。

しかし、マニュアル本ではありません。

子どもへの話し方や聴き方、及び学び合い方の本質的なものに
気づかされます。

私が子どもと向き合う上で大切にしていることがたくさん書かれています。

著者は、石井順二さん。
佐藤学氏とともに学び合いの第一人者です。

若手教員の指南書であり、
ベテラン教員の自己を振り返るための自己研修本となりうる教師にとっての必読書です。

今回は、本書の根幹である[主要目次Ⅰあなたは、どんな話し方、聴き方をしていますか?]について、記します。

要約ポイント(書籍の引用)

あなたは、どんな話し方、聴き方をしていますか?

聴けない子どものいる教室を二つに分けています。

  • 教師のことばにほとんど耳を貸さずおしゃべりをやめようとしない子どもが何人もいる騒がしい教室。
  • 子どもたちに私語はまったくなく整然と授業を受けているように見えて、教師の語ることばがあまり子どもに届いていないと感じる教室。

騒がしい教室

いくつかの原因が複合的になっているとも考えられます。声の調子に抑揚がなく一本調子であるとか、いろいろなことをくどくど話して分かりにくい等。しかし、どこに原因であるにしても子どもが教師のことばに心を動かさないということは、それだけ教師の存在感を感じていないということなのです。

聴きたい心をはぐくむ教師の存在感

教師は、話し方という方法論に走る前に、自らの子どもへの接し方を見つめなおし、自分はどんなことで存在感を発揮できるのか考えてみるとよいでしょう。だれにでもその人らしさがあるので、その部分でアピールします。きっと生き生きとした姿が現れ、それが子どもたちに魅力的に映るに違いありません。まずは、存在感なのです。

整然と授業を受けているようで教師のことばが子どもに届いていない教室

聴けない原因を子どもの問題として対処してしまった典型的な例だと考えます。いわば、カタチだけのしつけです。
教師の指導が、ううむを言わせない強制的なものなら、子どもは何も考えずその指導に従うでしょう。こうして、整然と授業を受けるカタチが出来上がります。私語はなく、おおむね教師の言うとおり活動しますから、教師は授業がスムーズに進んでいると錯覚します。それで教師は安心してしまうのです。しかし、その教室の子どもは、本当に聴き考えるたのしみと充実感を味わえているわけではないのです。

子どもを、言われたことだけをするロボットにしてはなりません。自分で考え、発見する、「学びを満喫する子ども」にしなければなりません。そうなったとき、子どもは、教師のことばにも仲間のことばにも真剣に耳を傾けるようになります。

聞けているかどうかの見極めを

肌感覚、教室の空気から感じ取ります。わたしは、子どもの目を見ます。特定の子どもだけでなく、一人ひとり、全ての子どもの目を見ます。そうすれば、それぞれの子どもの表情も見えてきますし、からだの硬さややわらかさなども見えてきます。
教師は、どれだけ整然としていても、子どもがほんとうに聴けているかどうかを、いつも子どもの目を見て感じ取る必要があります。

子どもの目を見て話していますか?

何人もの子供を対象にする場合、是非実行してほしいのは、意識的に一人ひとりの顔を見て話すということです。

話しながら自分の声が聞こえますか?

子どもに届く話し方を実現するために心がけていたことがあります。それは、話している自分の声を聴くようにするということです。いえ、できるならば、子どもたちの前で話している自分のすがたを自分で見ている気持ちになりたいと思っていました。心理学でよく言われる「メタ認知」ということなのかもしれません。

自分の声を聴きたいという意識が、聴く側の耳をわたしにもたらしてくれました。その耳が、聴き手が聴きやすい話し方を生み出してくれたのです。そういう意味で、聴く側に思いをはせる話し方の実現に、自分の声を聴こうと努めることはかなり意味のあることだと言えるのではないでしょうか。

長い話、くどい話になっていませんか?

話す事柄の数を少なくした方がよいということです。少ない事柄を、無駄を省いて、短くゆっくりと、間をとって話す、いつもそう心がけていたいものです。

教師のことばがほとんどの授業をしていませんか?

教師の多弁は慎まなければなりません。もちろん話さなければならないことはきちんと話した方がよいことは当然のことです。けれども、学ぶのは子ども、考えるのは子どもということを常に忘れてはならないのです。

聴きやすい話し方ができていますか?

聴きやすい話し方を、単なる方法から考えることにわたしは賛成しません。そうではなく、ひたすら、話す相手との関係に心を配り、話す中身に心を砕くことです。話すことに誠実に立ち向かうことです。そうすれば、子どもにとって聴きやすい話し方は自然に自分のものになるでしょう。

子どものことばを待てますか?

子どもを育てるには、「教える」こと以上に「待つ」ことが大切です。子どもは、与えられるよりも、自ら探求し自ら発見することで伸びるからです。もちろん教師は、教えなければいけないことを教えて当然です。けれども、それが行き過ぎて、子どもが自らの美容とする目を摘んではならないのです。そういうときに大切なのは、子どもが難しさに直面し、葛藤し、模索し、そして発見していく様子をじっと見守り、必要な援助をするということです。その状態の一つが「待つ」ということであり、「待つ」状態でもっとも大切なのが「聴きたい」という思いなのです。

どこを見て子どもの話を聴いていますか?

目線については、話すことにおいても大切なこととして述べましたが、同じように聴く場合においてもきわめて重要なことです。教師は、子どもに話させているわけですから、その子どもの話を正面からしっかりと聴かなければならないのではないでしょうか。もちろん、いつどんな場合でもそうでなければいけないということではありませんが、常に心がけていたいことです。

どんなことに留意しながら子どもの話を聴いていますか?

できる限りプラン通りに授業を進めることではなく、子どもの学びを促進するには、子どものうちに生まれるものを受け取らなければなりません。その代表的な行為が「聴く」です。教師はこのことを重く受け止め、発信に偏った体質の転換を図らなければならないのです。

  1. 一つの答えが欲しい等限定して子どもの発言を聴かない。
  2. 子どもの発言一つひとつにあわてて反応しない。
  3. 子どもの発言にいちいち反応せず、多くの子どもののことばをじっくり受け止める聴き方をする。

これらをすることで子どもたちがつなげて語りだします。そこから学び合いが生まれるでしょう。
いちいち口を挟まない、これも授業の鉄則です。

何を考えながら子どもの話を聴いていますか?

  1. 子どもの考えと考えがどうつながっているのかを考えるようにする。
  2. できるなら、ことばとして語られていない子どもの心の内のことばも聴きたい。

実践ポイント

  1. 自分のアピールポイントで存在感を発揮する。
  2. 子どもが聴けているかどうか見極められるようにする。
  3. 教師はことばを厳選して話し、子どものことばを正面から聴く。

1行まとめ

「ことばを大切にして学び合う」

私の大学の恩師のことばで、
「言語の乱れは、思考の乱れ」
ということばがあります。
この言葉は、私の座右の銘
の一つでもあります。

教師にとって「ことば」は、
とても大切なものです。
普段から気を付けて用いたり、
相手の話を聴いたりしたいものです。

今日も学ばせていただきました。
ありがとうございましたっ!

本書の内容を実践した気づきはこちら

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